世界の黒蝶真珠の95%以上を供給しているタヒチで真珠の品質向上のために新たな施策がGIE.perles de Tahiti(パール ド タヒチ)によって打ち出された。


登録制で産業を把握
 フレンチポリネシア政府は今まで、漁業権の発行抑制、輸出品質規制などの施策を展開し、一定の成果をおさめてきたが、これらは真珠の輸出に規制の主眼を置いたものであった。今回新たに全体の底上げを睨んで品質向上の要ともいえる毋貝の採育業者にも登録制、能力検定を実施することになった。この施策は真珠養殖業者、毋貝業者に例外なく適用され、登録制をとることにより誰がどこで何を行っているか、その生産、しいては産業を一律的に把握するためのものでもある。

教育でボトムアップ
 新たな施策の特徴の一つとして教育システムがあげられるが、これは政府が真珠養殖の技術、マーケティング、プロモーションの教育を専門に行うためAFOMETHにコースを設定し、なかば強制的に行われるもの。つまりこの授業、検定を受けなければ真珠の生産や、販売などが許可されないというもので、既存新規を問わず全ての養殖業者、毋貝採育業者に適用される。さらに授業を受けるにあたり前提条件として生産者は規定以上の設備、機器の保有、役務者数の確保が定められている。例えば外国人挿核技術者1人に対し5人以上の自国役務者の確保が義務ずけられる。また漁業権、養殖面積検査、税徴収を徹底して行い、新たな漁業権の発行は行っていないが、既に発行した漁業権をも審査し生産を行っていない所は権利が剥奪される。

プロモーションとのマッチング
 一連の施策により生産者は技術、マーケティングやプロモーションに対する理解と知識が深まるばかりでなく、現在年間700万ドル以上かけて展開されている海外のプロモーションとマーケットや生産とのマッチングが図られると期待されている。フレンチポリネシア政府としてはオーストラリアの白蝶真珠産業のような母貝の割り当て規制で品質を維持するのではなく、生産者の知識と技術のボトムアップによって品質の向上を図り自国のブランドを確立していこうとするもので新たな産業育成、市場戦略としても注目される。

責任ある生産体制の確立
 この施策に関しGIE.パール ド タヒチ では「現在時点(’05)でフレンチポリネシアには246人の中国人技術者内116人が女性、およそ20人の日本人技術者が真珠の養殖に従事している。タヒチ真珠の品質下落について多くの産業人は技術者が日本人から中国人技術者に替わったためと言うが、原因はそのシステムにある。日本人技術者は母貝を選ぶ時、最終的な歩留り、質を意識して元気な貝を厳しく選別するが中国人技術者は量を重視し小さな貝でも使う。この違いをしっかり説明し生産に責任を持ってあたるシステムの確立と教育によって品質の向上を図る。我々の主な目標はタヒチ真珠の価格を安定させ教育と登録制により生産をコントロールすることにある」と表明した。

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